シーズン5
第13話「男たちの沈黙」SILENCE OF THE SLAMS
レスラーのゴヨは負け役に嫌気が差し、職人のベニートに特別なマスクをオーダーする。ベニートはゴヨに血で契約書を書かせ、ヴェッセンの悪党パトリックの顔の皮を剥ぎ取り呪術を使ってマスクを作る。ベニートもまたヴェッセンだったのだ。マスクを試着したゴヨはみなぎる力に驚く。
バラーム
バラームについてはシーズン2第9話「泣き女」を参照。
ローウェン
ローウェンについてはシーズン1第12話「闘技場」を参照。
ヴィボラ・ドラダ
スペイン語で「黄金の大蛇」を表す。ヴォーガすると、頭部は爬虫類のような形態に変化する。アステカ神話に登場するケツァルコアトルという蛇神によく似ている。皮膚は金茶色の硬いものに、口周辺はやや緑がかった紫~黒色に。頭部に幾つもの尖った角のようなものが生える。鼻は扁平になり、口腔内は逆三角形の鋭い鋸状の歯がずらりと並ぶ。動作は俊敏、かつ非常に力が強く、狙った相手を力で押し倒すこともできる。また神経毒を使う種族で、鋭い歯で噛んで獲物を麻痺させ、素早く横隔膜に毒を注入することで呼吸不全に陥らせ、ヴォーガした獲物をヴォーガ状態にとどめておくことができる。普段は静かで真面目な暮らしぶりで、夜遅くまで仕事をすることも厭わない。また思慮深く、無茶な願いをしてきた相手を諭すなど、高い知能をうかがわせる。しかしシペ・トテックの祭司を兼任する場合は下記のような儀式を執り行う必要があり、それによって他のヴェッセンを襲ってその顔の皮を剥がねばならない。
シペ・トテックの儀式
シペ・トテックはアステカ戦士が崇めた神で、生け贄の皮を剥いで身にまとい、生贄の力を吸収して戦ったとされる。古来アステカ戦士たちはシペ・トテックに倣って皮のマスクを作り、戦う力の源とした。この風習は今でもサンテリアの司祭に受け継がれており、その司祭の多くはヴィボラ・ドラダが継承している。マスクを欲する者と司祭はお互いの血液を用いて契約書に署名する。次に司祭はヴェッセンの顔の皮を一枚皮として剥いで「夜と先祖の血の力を借り 戦士の力をこの皮に宿らせん」という呪文を唱えてマスクを作る。人間の場合はマスクを着けた顔だけがヴェッセン化し、力は圧倒的なまでに強くなる。しかし強大な力が宿ったマスクを着け続けることで人格が憑依され、正気を失ってしまう。憑依に気づいた時には既に手遅れな状態であり、自力で外すことはできない。マスクは決められた“厄難の儀式”でしか外せない。ビーズやハーブなどを手順通りに並べてその中に対象者を寝かせ、呪文を唱えることでマスクが取り外せるようになるが、例え術が解けても同時に複数の人格を宿した結果、人間の心は耐えきれず正気を失ってしまうという。
「芸術家としての批評家」『仮面を与えれば彼は素顔を見せるだろう』
『芸術家としての批評家』は、アイルランド出身の作家オスカー・ワイルドによる評論集の一編で、「素顔で語る時、人は最も本音から遠ざかる。仮面を与えれば真実を語りだす」は名言として良く知られている。他にも「自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから」「男は愛する女の最初の男になる事を願い、女は愛する男の最後の女になる事を願う」など、多くの名言を残している。ワイルドは19世紀末文学界の旗手として語られることも多く、詩集『ラヴェンナ』、小説『ドリアン・グレイの肖像』、童話『幸福な王子』など多彩な活動でその才能を発揮したが、男色を咎められたことで収監され、出獄後は病気で46歳の若さで没した。