シーズン3
第9話「赤の脅威」RED MENACE
患部に手をかざし、難病や重傷の人々を治すロシアの治療師ボリス・ムイシュキンの歓迎会の途中、突如ロシア人の男が襲いかかってきた。ところが、ムイシュキンは謎のパワーで逆に男に打撃を与え、窓から投げ落としてしまう。敵が多いため、襲撃者については検討つかないと答えていたムイシュキンだったが…。
コシチェイ
コシチェイは、ロシア民話の“骸骨人間”の意で、放射能性の骸骨状のヴェッセン。ヴォーガすると目は真っ黒になり、光彩は放射性の緑色に変化する。皮膚は透けて、緑色の放射線が走る頭蓋骨などが見てとれる。歯は放射線の影響で腐食し、毛髪もない。コシチェイはヴォーガ状態を、目と手だけに留めておくことができる。酷い怪我や病気を治す力を持っており、コシチェイに治療してもらった病人や怪我人はたちどころに治癒するが、同時にコシチェイの方は恐ろしく消耗してしまう。コシチェイは触れた相手を治すだけでなく、殺害することもでき、暗殺者としても重用されていた。標的は放射線障害を起こしてひどい死に方をする。主にロシアに多いヴェッセンで、レナード警部は幼い頃にモスクワで、治療師のコシチェイに会ったことがある。そのコシチェイは丈の長い修道服を着て酒は飲まず、治療後に高まった性衝動を抑えるため薬を使って禁欲主義を守っていた。1916年12月に英国秘密情報局のイアン・ヘイスティングス卿がオズワルド・カーター中尉に出した書簡によれば、ロシアの怪僧・ラスプーチンは実はコシチェイで、皇后に取り入って手懐け、ロシア軍を前線から退かせて連合国に打撃を与えたと伝えている。コシチェイには治癒力があるため殺害は極めて難しく、ヘイスティングス卿一行はラスプーチンに毒を飲ませたが効かず、発砲したが殺せなかったため、やむなくラスプーチンを完膚なきまで叩きのめし、凍ったネヴァ川に投げ捨てたとの記述がある。
マラー・ファタル
マラー・ファタルはイノシシ系のヴェッセンで、ヴォーガすると耳は尖り、目は黄色く光り、全身に茶色い剛毛が見られる。口からは大きな牙が上向きに飛びだす。この牙はナイフのように鋭く被害者の喉を掻き切ることができる。完全にヴォーガする前に、部分的に(目など)ヴォーガすることもできる。マラー・ファタルは攻撃的な性格であるが、知能が高いためやたらに暴力的な行動には出ない。しかし事を成す時には高い攻撃力をもってあたるため、その能力を買われて、スターリンの護衛として雇われていた。
フクスバウ
フクスバウについてはシーズン1第10話「臓器ビジネス」を参照。
クラウストライヒ
クラウストライヒについてはシーズン1第16話「金の卵」を参照。
「不死身のコシチェイの死」『不死身のコシチェイを殺すには まず魂を探せ オークの木の下の鉛箱の中 アヒルの中の卵の中だ』
「不死身のコシチェイの死」はロシア民話でロシア民話研究の第一人者で、「ロシアのグリム兄弟」とも称されるアレクサンドル・ニコライェヴィチ・アファナーシエフが採取したロシアの童話。「笑わない王女」「蛙の王女」「おおきなかぶ」など有名な童話は、アファナーシエフによってロシア民話集に収められている。コシチェイはスラヴ神話に登場する醜い老人の姿をした悪人で、主に若い女性を襲う。「不死身のコシチェイ」の名で知られ、名前は骨を意味するロシア語に由来するとされ、骸骨のような姿をしている。コシチェイの肉体と生命は別々になっていて、普通に攻撃しても殺すことはできない。『その魂は針の先にあり、その針は卵の中、その卵はアヒルの中、そのアヒルはウサギの中、そのウサギは鉄の箱の中、その鉄の箱は緑のオークの樹の下に埋められ、それは大洋に浮かぶブヤンの島にある。彼の魂が無事な限り死なず、箱が掘り出され開かれればウサギが逃げ出し、それが殺されればアヒルが出てきて飛び去る。卵を手に入れた者はコシチェイを意のままにでき、コシチェイは弱りはじめて病気になり、すぐさま魔力を失う。卵を揺するとコシチェイも自身の意思に反して揺さぶられる。針が折れるとコシチェイは死ぬ』という言い伝えがある。