シーズン3
第8話「クランプスの饗宴」TWELVE DAYS OF KRAMPUS
クリスマスでにぎわう街。不良少年デレクとクインの前に突如現れた異形のサンタ。デレクは逃げたものの、サンタはクインを大きな袋に入れ、石炭を残して去ってしまう。さらに、ひったくりをした少年も、異形のサンタに連れ去られる事件が続けて発生し、現場にはまた石炭が残されていた…。
クランプス
クランプスの名前の由来は爪を意味する古いドイツ語。サンタクロースのコスチュームを着こんでいるが、その顔は鋭い歯、大きな巻角、赤く長い二股になった舌と、恐ろしいものである。たいへん力が強く、いとも容易く子供(といってもティーンエイジャーの少年少女)を襲って袋に詰め込み、背負って歩くことができる。ヴェッセンたちの間でも彼らの存在は伝説のようなもので、モンローいわく「とても厄介な相手」。クランプスは“裏サンタ”とも言うべき存在で、クリスマス前に現れて悪い子たちを捕まえ、小枝で悪い子を容赦なく打ち据える。木の枝で打ったあとは袋に詰め込み、森の奥へと運ぶ。そのあとには石炭をひと固まり、残していく。クランプスは、さらった子供たちを最も高い場所にある一番高い木に、冬至前夜の12月21日まで吊るしておく。その21日に子供たちを食べてしまい、忽然と姿を消す。姿を消す理由は、ヴェッセンの資質をもつ者が、おそらく年に一度この3週間限定でヴォーガすることにあるのではないかと思われる。無意識のうちにクランプスになり、冬至に元に戻るが、その間の記憶は一切ない。ヴォーガするきっかけとして、日照時間の変化などが挙げられ、季節性情動障害もどき、ヴェッセン版「ジキルとハイド」のような状態であろうと推測される。グリムとしても、全く意識のない状態だった人間を始末するわけにもいかず、この件はヴェッセン評議会に任せることになった。
アイスビーバー
アイスビーバーについてはシーズン1第19話「目撃者」を参照。
「もみの木」『おお モミの木よ その枝の なんと力強いことか』
ドイツを発祥として世界各国で歌われているクリスマス・キャロルの1曲。ドイツ語では「O Tannenbaum」、英語では「O Christmas Tree」の表題で知られている。ドイツ北部に古来から伝わる民謡にヨハン・アウグスト・ツァルナックとエルンスト・アンシュッツが共同で歌詞を付けた。日本語の訳詞は野口耽介の手になるものが古く、他にも複数の訳詞が存在する。