シーズン3
第5話「エル・ククイ」EL CUCUY
ある日、ガソリンスタンドに仮面を被った2人組の強盗が押し入り、店番をしていた18歳のアンドレス・ヴェネガスが暴行され重体となる。一方、ジュリエットにMは誰かと聞かれたニックはMが母親だと明かし、実は生きていてグリムである事とポートランドに現れた事を打ち明けるのであった。
エル・ククイ
エル・ククイは “自警団”タイプのヴェッセンで、超聴覚を持つ。「エル・ココ」とも呼ばれるなど、ほかに多くの名前を持つ。ヴォーガ状態になると、目は黄色くギラギラと輝き、口は大きく裂けて、カミソリのように鋭い歯が並ぶ。息はまるで“死肉を食べたかのように嫌な匂い”がすると言われている。耳は鋭角に尖り、長く鋭い爪をもつ。髪と顎に灰褐色の毛が生える。エル・ククイは人々の嘆きの叫び、遠くから助けを求める声や悲鳴を聞きつける力を持っている。力も強く、年を経て老人となってもその力は衰えない。変身能力をかなりコントロールすることができ、たとえグリムであっても一目見ただけでは、その人物がヴェッセンであるとは分からない。また相手がグリムでもひるむことはない。正義を果たすために変身し、悪を懲らすが、そのやり方はかなり暴力的。悪人に馬乗りになって長い爪で喉を引き裂く。被害者はまるで獰猛な犬に襲われたような状態になる。治安が悪く犯罪の多い地域に出現し、その地域で犯罪が激減するまで襲撃を繰り返す。その地域での仕事が終わると、また別の地域へと流れていく。
ヘレンティーア
ドイツ語で「地獄からの獣」を意味する。荒っぽく凶暴で、見た目はフントイェガーやデーモンフュアーに似ている。ヴォーガすると顔は尖り、頭の脇に犬のように尖った耳が生える。歯は牙状にシャープになり、皮膚も革状に変化する。目の色は赤くなる。ルーツを辿ると古代エジプトに行きつく。相手がグリムでもひるまないほどの恐れ知らずだが、エジプトではその性格を買われてファラオが埋葬される時にお供に選ばれ、生き埋めにされた。しかしそれを名誉と思う単純さがある。ギョロ目で傲慢、ロザリー曰く『粗暴で短気で要するにクソ野郎』。
シャカール
シャカールについてはシーズン1第13話「3枚のコイン」を参照。
フントイェガー
フントイェガーについてはシーズン1第18話「レジスタンス」を参照。
デーモンフュアー
デーモンフュアーについてはシーズン1第14話「威厳ある死」を参照。
「民間伝承・エル・ククイ」『ねんねんころり…寝ないとオバケが食べに来る』
エル・ククイは北米南部に伝わる民間伝承で、スペイン語で「子供をさらう鬼」を意味する。姿は小さな亜人間で、赤く光る目を持つと言われている。また「メキシカン・ブギーマン」「ザ・ククイ」とも呼ばれる。彼らは暗闇、ベッドの下、クローゼットの中などに潜んでいる、と言われ、聞き分けのない子供には親が「良い子にしないとエル・ククイが出てくるよ」と言って躾ける。ニューメキシコ州のアルバカーキでは、恒例行事として毎年エル・ククイの火祭りが行われている。人々は紙に悩みや心配事を書き記し、エル・ククイの像に投げ付ける。ちなみにメキシコ系アメリカ人の総合格闘家トニー・ファーガソンのニックネームは「エル・ククイ」という。