シーズン1
第16話「金の卵」THE THING WITH FEATHERS
ニックは宿泊先のコテージの場所を聞きにティモシーとロビン夫婦の家に立ち寄り、そこでティモシーがネコ風の魔物になるのを目撃する。宿泊するコテージからその家の様子が見え、ティモシーが嫌がるロビンを無理やり家に引きずりこむのを目撃したジュリエットはニックに助けるよう言い、ニックは地元保安官事務所に通報するが……。
クラウストライヒ
ネコ型のヴェッセンで語源はドイツ語でいたずら者という意味をもち、同じくドイツ語の「爪」と「ひっかく」の造語である。またKlauはドイツ語で「盗み」を表すklauenから。女性たちには人気があり魅力的だが誠実さのかけらもなく、非常に暴力的だという。モンローの高校時代、恋人がモンローを振ってクラウストライヒの男性に乗り換えた。彼女は妊娠したが、彼女の両親が警察に相談に行くのを知って彼は街を逃げ出そうとし、その前彼女に怪我まで負わせた、とモンローは話している。
ゼルテンフォーゲル
鳥型のヴェッセンで語源はドイツ語で「貴重」と「鳥」。古来からたいへん伝説的でレアな種族らしく、ニックが目撃した話をするまで、モンローもロザリーもとっくに絶滅したものだと思っていた。大きな金色の目と 金色の羽を持つ。その希少性から古代の王宮などでは大抵囚われの身となってペット化していた。またそれは彼らが一生に一度生み出す、金の卵(ウンベツァルバール=プライスレスの意)のせいだとも言われている。卵は分泌腺から出る大きなもので、実体は喉袋で形成される高密度の鉱質堆積物。たいへん珍しく、ほぼ金で出来ているので卵が十分な大きさに育ったら、ゼルテンフォーゲルが呼吸困難になって死んでしまう前に、傷をつけずに取り出す必要がある。傷がついたら価値が無くなってしまうため注意を要する。その取り出し方もたいへん難しく、めいっぱいに張っている皮膚を、卵の中心を縦にまっすぐ切り開き、固い表面にナイフの先が当たる感触がするところまで切り込む。切り口の中に手を入れて卵を固定している皮膜ごと引っ張って音がするまで外す。
「ナイチンゲール」『歌え!私の小さな黄金の鳥よ歌え!私の黄金のスリッパをお前の首にかけてやろう』
ハンス・クリスチャン・アンデルセンによる童話。昔、中国の王様のところに一冊の本が贈られてきた。そこには「王様の御殿は世界一素晴らしいが、最も素晴らしいのはその御庭のナイチンゲール(夜鳴き鳥)だ」と書かれていた。台所の娘が、その鳥なら森にいるというので探しに行くと、ナイチンゲールは美しい声で歌を歌い、王様はその歌声に感動して涙を流した。ナイチンゲールは王様の希望で、宝石で飾られた籠に入り、王様に歌声を聴かせることになった。一年後、遠い国から機械仕掛けのナイチンゲールが贈られてきた。宝石で飾られ、ぜんまいのついた鳥の歌声は素晴らしく、王様は「この金のナイチンゲールがいれば他には何もいらない」と言ったので、本物は森へ帰ってしまった。だが1年後に機械の鳥は壊れてしまう。そして5年後、王様は病気になってしまった。病気が重くなり、王様は「頼むナイチンゲール、もう一度歌を歌ってくれ」と涙をこぼした。すると窓の外から懐かしいナイチンゲールの歌声が聞こえてきた。森のナイチンゲールが王様を慰めにやってきたのだった。王様は健康を取り戻し、家来たちはたいへん驚いた。
本編では鳥型のヴッセン・ゼルテンフォーゲルが一生に一度、喉袋で育てる金の卵を狙ってネコ型のヴェッセン・クラウストライヒがゼルテンフォーゲルのロビンを監禁する。ニックはロビンの喉で大きくなった卵を取り出す難解な手術に挑む。