シーズン1
第10話「臓器ビジネス」ORGAN GRINDER
10代の少年が滝から落下した溺死体で発見される。首には何かを刺したような穴が二つ並んで空いていた。検視の結果、溺死だと確定したが、大量に血が抜かれていたことが判明。首の穴は血液を抜くために使った静脈注射の痕ではないかと推測された。
ガイアー
ハゲタカ型のヴェッセンで、ドイツ語でまさに「ハゲタカ」の意味。木に飛び移る能力を持ち、木の上で獲物が下を歩くのを待つ。もっとも下劣なヴェッセンで、グリムのジャーナルには『彼らはまだ生きている人間から臓器を摘出する。そうしてひどい痛みを与えることに喜びを見いだす。戦場で起こる大虐殺は彼らにとって絶え間なく臓器を入手する機会となる』という記述がある。モンローによれば「臓器絡みとくれば大抵は“ガイアー”の取引だ」。東洋医学で使う漢方薬のようなもので魔物にとって人間の一部は治療薬や媚薬として効果抜群だという。例えば、人間の睾丸はある種族にバイアグラのような効果をもたらすという。本編ではストリートチルドレンの少年の体から血液が抜かれる事件が起こる。ガイアーであるレヴィーン医師は路上で生活する子供たちのために無料クリニックを開いているが、実はそれは身元の不確かな子供たちを集める手段だった。
フクスバウ
キツネ型のヴェッセン、フクスバウはドイツ語で「キツネの穴」という意味。商才に秀でており、ヴェッセンが必要とする薬草や、またそれから精製した様々な薬品、ハーブティーなどを商う。本編でモンローが購入した人間の胆のうで作った薬“ガレンブレイズ”は6オンス(170グラム)で300ドルという高価格。商いの相手がガイアーのような悪人でも善人でも気にしない。非常に頭がよく、またずる賢いところがあるので、モンローはニックに「もしフクスバウと握手したら、あとで指の数を数えとけ」と忠告している。本編で登場する“スパイスとティーのお店”の店主はリチャードといい、一人で店を切盛りしている。「商品の回転が速い」と言っているところを見ると繁盛しているらしい。仕入れる材料はガイアーにショートメッセージで注文していたが、事件に巻き込まれてしまう。
「ヘンゼルとグレーテル」『パンくずをたどればうちに帰り着けるはずだ』
1812年にグリム兄弟によって出版された「ヘンゼルとグレーテル」。実の親が子供たちを捨てる、という衝撃的な内容だったので、実母を継母に変えるなど、後の版では改編している。飢饉に襲われた村では家々の食糧にことかき、ついにある家では夫婦が子供を森の奥に置き去りにしてこようと相談する。兄のヘンゼルは妹のグレーテルを連れて森へゆくが、道々にパンくずをまいて家に帰る目印にした。しかしそれは鳥たちに食べられてしまい、兄妹は帰れずに森の奥で迷子になってしまう。森の奥に進んだ兄妹が見つけたのは、お菓子でできた家だった。家から出てきた魔女はごちそうで兄妹を家に招き入れるが、ヘンゼルを捕まえて牢に入れ、グレーテルには家の雑用をさせる。牢には他の子供達も入れられていて、魔女は子供たちを太らせては、食べていた。ヘンゼルは目の悪い魔女に鶏の骨を触らせては、食べられる順番を遅らせていた。ある日グレーテルは、大きな料理用ストーブを覗いた魔女をストーブに押し込み、子供たちは助かる。
本編では少年少女の内臓売買を企むヴェッセン“ガイアー”がストリートで生活する兄妹ハンソンとグレイシーを襲う。ガイアーである無料クリニックの医師が言葉巧みに兄妹に近づくが、それは生きた人間の内臓と血液がヴェッセンの妙薬となり、闇で売買されているからであった。