海外ドラマ「GRIMM/グリム」

第5話「死の舞踏」DANSE MACABRE

私立音楽院の教師ローソンの遺体が、車の中でネズミに蝕まれた状態で発見された。駐車場の側には駆除業者“ガイガー・ペスト・コントロール”のケージが置いてあった。そして駆除業者の息子ロディがケンカが原因で数日前に音楽院を停学になっていたことが分かる。

ライニゲン

ネズミ型のヴェッセンで、ドイツ語では「掃除」を意味する。第5話のロディの家も父親が駆除業者で生計を立てている。モンローいわく「ライニゲンはグリムの食物連鎖の底辺にいる連中」。攻撃的なところはないが、限界まで追いつめられるとまさに窮鼠猫を噛む的な攻撃性を発揮する。「ハーメルンの笛吹き男」の民話に由来し、類いまれな楽器の演奏力があり、ロディのバイオリンの腕前はモンローを感嘆させたほど。ライニゲンはその楽器演奏力でネズミの行動をコントロールする力を持っている。本来の非暴力的な性質のため、ライニゲン自体はグリムとの攻防の歴史は持っていない。

「ハーメルンの笛吹き男」『そこら中からネズミが現れー笛吹き男についていった』

フォンハーメルン音楽院での惨劇で幕を開けるこの事件は、「ハーメルンの笛吹き男」からインスピレーションを得て制作されている。グリム兄弟をはじめ広く様々な作者によって書かれている民話である。この民話は1284年6月26日、ドイツのハーメルンという町で実際に起こった災厄として、教会のステンドグラスに記録されている。それによれば、ネズミ害に悩むハーメルンに「ネズミ獲り」を名乗る男がやってきた。男は色とりどりの布で作った衣装を着て、笛を持っていた。町の人々がネズミ退治の報酬を約束すると、男は笛を吹いてネズミを川辺へ連れていき、溺死させた。だが、町の人々は報酬を出さない。怒った笛吹きは、6月26日の朝、また笛を吹き鳴らし、今度は子供たちを町から連れ去ってしまったという。笛吹き男に連れ去られた子供たちは130人、彼らはコッペン(丘の意味)の近くの処刑場でいなくなった、と記録されている。ちなみにこの伝説については諸説あり、笛吹き男は小児性愛者であった、別の説では、子供たちは病気で死亡し、笛吹き男は死神のことである、子供たちは土砂崩れで死亡した、巡礼に出た、など様々である。さらにハーメルン市民軍の話が変形したとか、植民運動の話であるとか、子供たちは植民請負人に売買されたとか、当時のドイツの社会情勢などを反映した説も支持されている。

本編ではバイオリンの才能を持つネズミ型ヴェッセンの若者ロディがネズミを組織して自分をおとしめた者たちに仕返しをする。バイオリンを弾くロディのあとを大量のネズミがついて行く様子はまさに童話の情景さながら。

PAGE TOP