シーズン3
第12話「戦士狩り」THE WILD HUNT
頭皮を剥がされたハイウェイ・パトロールの死体が発見された。サンディエゴでも同様の手口で国境警備隊員らが殺されており、犯人はメキシコから不法入国して北上していると見られた。さらに管内でもグリーンベレーが殺され、ニックたちは犯人の車が発見された場所へと向かう......。
ヴィルデスヘーア(1)
姿形は狼に似たヴェッセンで、他にドイツ語で「ワイルド・アーミー」という意味の「ヴォティスヘーア」とも呼ばれる。ヴォーガすると灰色の毛皮が体を覆い、野獣のような形相になる。巨大化した漆黒の目には茶色い眉がかぶさり、鼻は犬のようになる。顔全体が押しつぶされたようになり、口からは黄色い牙が飛び出す。体は大型で筋肉質。ヴォーガすると力も強くなり、成人男性を片手で小脇に抱えるくらいは造作もない。その力はグリムやブルットバッドでもかなわないほどで、ヴェッセンの中でも最も力が強く、危険な種の一つとされる。何ヶ国語にもわたるグリムの日記によれば、「ヴィルデスヘーアは戦場では死を恐れず突撃する。非常に凶暴で顔を敵の返り血で染め、我を忘れて敵を倒し、その頭の皮を剥ぐ。そして戦利品の頭皮を縫い合わせて外套を作る。倒した戦士の力が宿ると信じているからだ」とある。彼らのすさまじくも恐ろしい評判から付いた別名は、北欧神話の猛戦士“ベルセルク”。
「兄と妹」『粗暴な狩人に備えて 戸には錠をするわ』
グリム童話収録。「兄と妹」についてはシーズン2第19話「絶滅危惧種」を参照。継母に追われ、森に隠れ住む兄妹。妹は、鹿になってしまった兄を王様の狩りに送り出す時に、「荒っぽい狩人が来るといけないから、家の戸には錠をしてしまう。戻ってきたら、ノックをするように」と言う。
「ワイルドハント」
伝説上の猟師の一団が、狩猟道具を携え、馬や猟犬と共に空や大地を大挙して移動していく……という、ヨーロッパに伝わる民間伝承。イギリス、ドイツやフランス、ノルウェー、スウェーデンなど、各国・地域で伝承の内容は異なる。この狩猟団は戦争・疫病などの大きな災いを呼び込むと考えられており、目撃した者は死を免れず、また狩猟団を妨害したり追いかけたりすれば、彼らにさらわれて冥土へ連れていかれる、と言われている。また、その仲間に加わる夢を見ると、魂が肉体から引き離されると信じられている。北欧神話においては「オーディンの狩猟団」とされており、「グリム童話」を編纂したグリム兄弟は、「怒れる軍団」(ワイルドハント)は、オーディンの軍に起源があるとしている。日本では“百鬼夜行”がそれに近いとされる。