シーズン2
第18話「憤怒」VOLCANALIS
フッド山で火山の調査をしていた地質学者のジルは火山岩を拾って帰る途中、山で男に襲撃され、「石を返せ」と脅されるが催涙スプレーで撃退しそのまま持ち帰る。自宅に戻った途端地震のような揺れが起こり、気づくと持ち帰った石がなくなっていた。そして突然部屋が一気に熱くなり、火の魔物に襲われ殺されてしまう。
トーレウス・アルメンタ
“雄牛”と“農耕用家畜”の造語で、雄牛型のヴェッセン。灰色の皮膚、頭の両脇から黒色の角が生えている。鼻も牛の様に広がり、角の下に小さな耳が垂れ下がっている。力は強く、かつては戦場でよく見られた種類。グリムの記録によれば「逆境において勇気と粘り強さがある。多くの者が前線に立ち、いかなる敵にも立ち向かうと一番に名乗り出て鋼のような神経で砲火を浴びる」とある。だがグリムには弱く、立ち向かわずに逃げる性質がある。
ヴォルカナリス
厳密にいうとヴェッセンの種類ではない。ヴォルカナリスは人型をとっている溶岩の化け物でたいへんに危険だとされている。噴火口の中に潜んでいるが、伝説では「神聖な岩を盗むとその報いをうける」とされ、火山の石を持ち帰った者を追跡して襲い、熱で燃やし尽くす。ヴォルカナリスが近づくとまず地震が起こる。全身が燃えている溶岩のような魔物で近づくと熱気で息もできない。ヴォルカナリスに狙われたら最後、体内からも過熱されて黒焦げになってしまう。昔、ローマ神話の火の神ヴァルカン(ウゥルカーヌス)の司祭がグリムに話した記録が残っており、「司祭長に助けを求めたあと私は再び山に戻り、あの溶けた怪物にまた遭遇した。ポンペイの人々は石を動かしていた。焼けて、火ぶくれを起こした遺体を発見し、司祭長は逃げる前に一言こう言った。“ヴォルカナリス”。ベスビオ山の噴火がポンペイを飲み込む復讐をちょうど目の当たりにし、私は心底震え上がった。ローマに戻り、ヴォルカナリスがしばしば古来の悪魔サタナと間違えられていたことを知った。サタナとは異なり、ヴォルカナリスは火山に住む。激しい噴火の前に姿を現していた。私がちょうど目撃したように」とあるようにベスビオ火山の噴火にも強い関係性があると思われる。
「金の毛が3本生えた鬼」『帰宅した悪魔は気づいた 人間の肉のにおいがする』
グリム童話に収録。貧しい女が子供を産んだ。赤ん坊は「福ずきん」(大網膜)がついたまま生まれてきたので周囲から運の良い子と言われ、その子が14才のときに「自分は王様のお姫様をお嫁さんにする」と言った。ある日身分を隠した王様が村に来てその噂をきき、娘をやらずにすむようにその少年に手紙をもたせてお妃のもとへやった。手紙には「この手紙を読んだら持って来た少年を殺すように」と書かれていた。少年は途中で道に迷い泥棒たちの家で一夜を明かしたが、手紙を読んだ泥棒たちが手紙を書き換え「この手紙を持っていった少年と王女を結婚させるように」としたので、お妃はその通りにした。城に戻ってきた王様は怒り、「娘と結婚したいのなら地獄へ行って金の鬼の毛を3本とってくること」と言った。少年は出かけ、ある都の入口で門番から「この市場の井戸から葡萄酒が沸き出さなくなったわけを知りたい」と言われた。次の門では「黄金のりんごの木が枯れそうなわけを知りたい」と言われ、川の渡し守からは、「どうすればこの役から逃れられるか知りたい」と言われた。鬼の住処に辿り着いた少年は、留守番の母親のスカートの下に蟻の姿になって隠してもらった。やがて鬼が帰宅し、少年は居眠りする鬼から3つの答えを、鬼の母親から黄金の毛をもらって帰途についた。渡し守には「次の相手に竿を渡して逃げろ」と伝え、2番目の門番には「木の根っこにいるねずみを退治せよ」と教えてロバ2頭分の金貨をもらい、最初の門番には「井戸の底にいるカエルを退治せよ」と教えてまたロバ2頭分の金貨をもらった。王様は喜んで王女をやり、自分も金貨をもらおうと少年に方法を聞いた。少年が渡し守に川を渡してもらえと言ったので王様は川へでかけ、渡し守は王様に竿を渡して自分は逃げていった。